122 楽しく食べてもらいたい、でも

もう、本当にさんまが安くなって、おいしいと思いますが、
一品料理屋さんで、さんまの塩焼きが美味しいと評判のお店があります。
火力が数百度と高温になることで有名な「備長炭」を使用して焼いています。
さすが、こだわりのお店ですから、市場価格がいくら下がったとは言え
1尾食べると500円以上かかります。走りの頃ですと1尾1500円から
スタートしますから、ずいぶんと安くなったと思います。

さんまの様な大衆魚でも、こだわりを持って、吟味し調理すれば、
高級魚にはないような味わいを作り出せると話しておられました。
高温でパリッと皮を焼き上げ、中はジューシーで・・
(なんかどこかの宣伝文句みたいですが)
さんま1尾まるまる味わって欲しいと望まれます。

でも、最近のお客さんは皮をめくって、中身(背中の部分)だけを食べられて、
後は残されていきます。
大根おろしはないかとか、醤油はないかと、自分で味付けもされますね。
楽しく食べていただけるのはうれしいのですが、
私の気持ちとしては、カリッと香ばしく焼き上げた皮は「おせんべい」に通じる物が
あります。
塩味の皮とほんのり苦みのある腹わたを一緒に味わうことによって、
美味しさのハーモニーが生まれると思うのです。
こんなに気を使って皮を焼き上げたり、火の通し方に神経を使うことはありません。
毎日焼いていても、なかなか自分の気に入るような焼き上がりができないと思っているし
さんまにこの様な備長炭まで使って焼く事もないでしょうと言われることもあります。
値段が高いと言われることもありますが、これだけのことをしていれば、
これでも全然儲かりはしないと思います。
家庭料理と同じに考えてもらっては困ります。
プロはプロの仕事をしますからと言われました。

昔はお客さんとの会話で、こう食べて欲しいと説明をしていましたが、
今では求められればしますが、自分の方からはする事もなくなりました。
あまりにも魚の食べ方をしらなすぎるし、
お金を頂いてまで嫌われることもないと思っているからです。
時々いらっしゃるお客さんで、何も言わないが 
きれいに食べて行かれる方を見ると惚れ惚れする事もあります。
今はこんな時代なんだろうかと思うこともありますよ。
聞いてもらえば、色々と教えて上げたいと思うのですが、
人に聞くと言うことを今の人はしないからねぇと親父さんは言っておられました。
作る方も真剣なら、食べる人もある程度の知識は持って食べた方が、
美味しさってより一層感じられるのかと思いました。








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